今回はガンマ関数のお話をするぞ~。ガンマ関数は広義積分の時に出てくる有名な無限区間の積分で、その意味が親しみ深さがある上に(後で解説)、記号がかっこいいので是非読んでほしいな~。(この記事では見やすさの都合上e^f(x)をexp(f(x))と書くことがあります。)
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ガンマ関数の定義
ガンマ関数Γ(s)は次で定義されます。

ガンマ関数を扱う上での注意は、この関数自体はsの関数である一方で、右辺はxの積分であることです。sを代入して、右辺の積分を計算することで、Γ(s)が求まります。
ガンマ関数の性質
ガンマ関数の性質で特筆すべきと思われるのは以下です。
・ガンマ関数の値は常に収束する。
・Γ(s+1)=sΓ(s)
特に二つ目の性質が面白いので詳しく紹介しますね。
ガウス関数の収束
まず、なんでこの積分が収束するか確かめる理由を説明します。ガンマ関数は無限に伸びる区間で積分します。もちろん積分の中身は収束しますが、だからと言ってその無限区間での積分も収束するとは限りません。実際、次の積分は発散します。(証明は容易)ですから、この積分が常に有限値に収束することも非自明なので、示しておこうということです。

f(x) = exp(-x)x^s-1とする。f(x)の収束性はこれをより強い関数(収束する)で比較することで示すことができます。

これにより、x→∞において分子≪分母となるので、xが十分大きい実数cを超えると必ず分子を分母が越えますね。
分母の関数exp(-x/2)は0から∞まで積分しても収束しますから、もちろんcから∞において積分しても収束します。それより小さいf(x)もcから∞までの積分は収束するといえるでしょう。
この、極限値が0だから一定値を超えたxの値に対しては必ず不等号の向きが確定する、という性質は様々な場面で有用で、こうすると無限を含む区間を一つの不等式で評価して、残りを有限区間で評価できるので、頭の片隅に入れておきましょう。
次に0からcまでの積分が収束することを示します。これは有限区間の話なので比較的やりやすいかな?有限区間で積分が発散するとしたら積分区間のうちで連続でない点が存在する(逆にずっと連続なら当たり前に有限値じゃん?)ので、そう考えると当然収束しますが丁寧に示します。
ますx≧0から次が言える。

よって、これを積分しても不等号の向きは変わらず、

よって有限値の実数よりちいさいことから収束が示せました。ここは積分しやすい関数で上から抑えるってのがポイントかな。
以上を踏まえると、

が収束することがわかります。ただ収束することを示しただけですがかなりてんこ盛りの内容ですね。有益な情報が多いのでぜひ理解しましょう。
ガンマ関数の漸化式
これはいったん計算過程を見てもらいましょう。

漸化式を考えるので1増やした後から考えます。積分を含む漸化式で気を付けるのは「だいぶ近い形の積分」をいかに作るかです。今回なら、xの次数が1ずれた形を生み出すのが目標です。それによって、「部分積分の微分する側をx^sにしよう」と考えられるわけです。これは積分側のe^-xが積分によってほとんど変化しないこともやりやすさではあります。どうでしょうか、自分でもできる気がしてきましたか?
この漸化式がどうかしたのか、と言いたいそこのあなた!お待たせしました。次その話をします。
ガンマ関数の漸化式応用
ガンマ関数を数列っぽく見てみましょう。イメージしやすさのためΓ(n)を a_nで置き換えます。

これの一般項を求めるにはどうしますか?私ならこうします。

なんと、階乗が出てきました。ついでにa_1も求めます。

つまり… a_nを Γ(n) に戻すと。

なんと、ガンマ関数は階乗を定義できる関数だったのです。

この積分は計算できるとは限りませんが、これのグラフを書いて大体で面積を求めれば自然数に限らずどんな正数の階乗も計算できます。この積分が計算できる自然数でないnの例として、Γ(1/2)=√πがあり、これから(1/2)!=√π/2が求められます!(詳しくはこちら)
すごくないですか?階乗を有理数全体に拡張して何になるんでしょうか。(笑)
おわりに
今回はガンマ関数について触れました。ガンマ関数という単語そのものがかっこいいのでこの記事を理解した皆さんはすぐさま友達にドヤ顔でガンマ関数のすごさを解説してください。